自然が与えてくれた葡萄の宝石 wineの案内人…ブドウビジュー


これまでのメールマガジンからエッセイや
ご案内の一部をご紹介いたします
Vol.1
体験のご案内
Vol.2
一休.comワインセミナー
Vol.3
雲のように、水のように
Vol.4
秋の田園にて
Vol.5
イタリア 南国へ!
Vol.6
自然恵みに損失なし

秋の田園にて

数週間前、穏やかな秋の一日に近郊の田園を歩いておりました。 都内から、20分も車で走れば、 まだこんなにも美しい自然の田園風景がのこされていることに感謝の気持ち♪ 秋の草花があぜ道に咲き、 よく見れば、道ばたに小さなカエルがぴょこ。 なんとものどかです。 自然と共に生きる農業を営む努力をしている方がここにいるのだなあ~と心安らかになります。
いま持ち歩きながら読んでいる文庫本は『いのちの食卓』(マガジンハウス文庫720円)、辰巳芳子さんの書かれたものです。そのなかにこのような文章があります。
『私は、人とのかかわりにおいては、互いに「仕えあう」ということを重んじております。ところが、最近は、どうも人々が「立ち向かっている」ように見えるのです。 人に対してだけでなく、自分自身に対しても、なにか自己実現といって、立ち向かっている。 それはとてもしんどいことではないかと思います。
もっと肩の力を抜いて、人と手を取り合うような態度でなければ、この人生は辛いものになるでしょう。
カエル(中略)
生活というものは、「いのちに花を咲かせ、実を結ばせようとすること」だと思います。
(中略)
私が強調したいのは、自分のいのちは、自分のものであって自分のものでない、ということです。 そこをよくわからなくては、どうして人と人とが支え合うのかということもわからないでしょう。このような悟りは、根底的に、人を解放するはずです。』

現代において<自己実現>という思いはだれにでも起きうる気持ちだと思いますが、 意地と欲が強くなれば、謙虚さを失い、人の好意や自然の恵み、いのちのありがたさを見失います。
今から30年前、私が20歳のころ、<花形ソムリエ>や<イケメンシェフ>、<カリスマ美容師やパティシエ>
・・・なんてものは、この世の中に居ませんでした。
花形ソムリエは本来「ワイン給仕人」であり、人気イケメンシェフは本来「料理人」であり、カリスマパティシェは本来「菓子職人」でした。そのほか、花でも器でも、作家や建築でも、・・・・
何千年ものあいだ「職人」(アルチザン)であったものが、「芸術家」(アルチスト)と自称他称するようになったのは、この50年来の狂乱と欲望の、あるいはにわか近代国家の文化人ブームやテレビ的演出のなかで起きたことで、 長い歴史に学べば、極めて異常で、本筋を見失ったイリュージョンだと言わざるをえません。 確固たるプリンシプルを持たない広告のような評論家やブロガーも、このような時代の大衆がうんだ徒花です。
汗水たらして畑を耕したりブドウを育てたりしている人に、アーティストだと思って鏡で自分をみながらやっている人はおりません。
お客様を心から愉しませ幸せにしようと思って奉仕する幸福を見いだした、ワイン給仕人や鮨職人や菓子職人、器職人や棟梁や、米やワインの作り手に、 カリスマ、花形、人気イケメン、芸術家と人様に思われたいと意識してやる人は、本来、おりません。 恥を知り、奉仕や義務の心で行われる仕事は、まさに、自分とひとのいのちに花を咲かせ、実を結ばせていると思います。
秋の一日、収穫の終わった田んぼのあぜ道のカエルが、ぽんと水路に跳ねていきました。
 
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イタリア 南国へ!

若い頃に、真冬の2月のドイツ、フランクフルトに降り立ち、トマス・クックの時刻表片手に鉄道で南下していく「冬の旅」をしたことがあります。ロマンティック・シュトラーセで雪道を荷物を引きずり歩き、白雪のノイシュヴァンシュタイン城に登る馬車のなかで凍え、バーデンのカジノで小金をすって懐も寒くなり、極寒のウィーンの甘過ぎるお菓子に震え、難解なシェーンベルクの室内楽に恐れ入ったザルツブルグを経由して、アルプスを下る列車でイタリアの平野に出たときに景色のなかのひかりが変わりました。
雪中行軍10日目の南国イタリアは、風に色がありましたヴェネチアに向かう国際列車の相席の老紳士は、自称小説家で、赤ワインを一本もって乗り込んできて「悪いね~お若いの・・・一杯差し上げられなくて。俺はグリッティ・パレスだけれど、あんた何処に泊まるの?・・・・俺は小説を書いていてね、年に半々でザルツブルグとヴェネチアを行ったり来たりしてるんだが、兄さん冬はヴェニスがいいよ!」と語りながら・・・ヴェニスに着いた時にはワイン1本飲みきってました。

ヴェネチアの宿で、「ハリーズ・バーのような有名店でなくて小さくても魚と料理が旨い店教えてください」と言って教わったレストラン。これが陽気でイケテてて旨いのなんの。
魚介のパスタなんか泣けるほど美味しくて、これ何はいってるの?って訊くと・・・ちょび髭のオヤジが秘密めいた顔して、「にいさん、それはアスピリン!」(笑)って踊って見せました。
若造はサービス人にからかわれながら、ソアヴェの白ワインをすすりました。頭痛のするほど凍える寒さの北ヨーロッパからイタリアに来るということ自体が北ヨーロッパ人の妙薬という歴史を実感の旅でした。ゲーテもヘッセもトーマス・マンもみな「南国」イタリアに心の底から憧れました。

さて、ドニゼッティの「愛の妙薬」という歌劇のなかで、「森羅万象に通暁した、人類の救済者」と名乗る薬売りドゥルカマーラ博士が、村人に巧みな宣伝口上で、(「一日たたないと効き目が現れないから待っててね!」と上手く売りつけるのは、実はボルドー・ワインですが、心も躍る、「南国」イタリアのワインをご案内いたします。だまされたと思って、お付き合いください!

 
 
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自然の恵みには得失なし

 
「山水に得失なし、得失は人の心にあり」という夢窓疎石の言葉を昔読んだことがあります。
(**夢窓疎石 : 西芳寺(苔寺)や甲斐の恵林寺の庭で知られる鎌倉から室町時代にかけて生きた禅僧で日本の庭の原点を造った。**)
この山水とは「自然」とそれを生かした「庭」を指します。自然を生かす庭において…得失は無いという禅僧の思想です。人はどうしても「利益」「利害」を考える。・・・
意識や感情というものの無い自然の山川草木には「得失」というものが無い。ワインにおいて…料理において… とも言い換えられるなぁーと思いました。得失(得た損した)を考えるのは人の心で…
自然の恵みのワイン、素材を生かした料理、それを精励して造った人に得失の心は無い…。 あれば、醜いものになる。
自然1
名石を集め巧緻過ぎる石組みを組み、砂の造形物を作る。はたまた禅寺の池に錦鯉を泳がせ、西洋庭園のように草木を刈り込むような志向は、 得失の意識があり過ぎる江戸時代以降、あるいはビジナス化した現代のお坊さんのセンスが為したことかもしれません。
人と人との間においても… 結果として学ぶものや心を悩ますものはあったとしても…損得を考えて付き合い始める訳では無いから、本来、得失はないのでしょう。ワインでも、料理でも、勉学や何か物を人に習う場合でも、 また、人との付き合いでも、当然の「権利」と「賢さ」のように自分が得することばかりを考えている人が増えているかも知れません…

新聞の新刊で広告で、<ワインを飲む人が成功する!!!> みたいな見出しの本が宣伝されていました。
『仕事ができる人は、ワインに詳しくて熱心 』といった内容の本です・・・ビジネスで成功したい人はワイン飲まないとだめみたいな内容の本のようです。失礼ながら、うぅ~ん・・・どうなんでしょう? まあ嗜好品ですから自由ですが、個人的には一番お友達になるのをご遠慮したい世界です。

禅僧の言葉で始めましたので、 「縁なき衆生は度し難し」と思いましょう。
希に、無心に良いと思うことに打ち込んでいる人や物の造り手は、その存在自体が美しい。
そのような希有な造り手のことを、紹介していきたいと思います。
 
 
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 エクラ掲載記事 有元葉子さん、黒田知永子さんとご一緒にワインを

 
雑誌エクラ12月1日発売の集英社エクラ1月号巻頭の特集記事の撮影で、友人の有元葉子さんのお宅でワインのご案内をしながらごちそうになる楽しい一日がありました。ストレスフリーの素晴らしい料理とおもてなし!

有元葉子さんのお家にエクラのモデル黒田知永子さんがおみえになり、その際にゲストに楡井を招いていただき、おすすめのワインのお話を聴いていただきながら、ご飯(イタリア料理)をご一緒にという企画です。有元葉子さんは楽しい飲み友達であり、料理教室でワインの愉しみをご紹介する講師をさせていただいたり、料理に合わせるワインのアドバイスをさせていただいております。

有元葉子さんのおもてなしはいつもシンプルでおだやかな雰囲気にあふれたもの♪
今回の8ページの特集記事のためのおもてなし料理も素材こそ最高の上質を選ばれておりますが、たいへん手際よく簡潔なメニューとサービスで、招かれた側は堅苦しさや緊張感なく、心から打ち解けて、招いた側の有元葉子さんと歓談できます。
ロウソクの灯り。小さく機能的な部屋。清潔で親しみあふれる雰囲気。よい素材をゴテゴテいじって損なわないようシンプルな料理、下準備は周到にしておいて、ゲストがみえたらササっと火を通してサービスしたら、ホステスも食卓についてのんびり歓談する。自己主張を見せつけるのではなくて、心から寛がせる大胆なシンプルさこそが、最高のおもてなし。そういうお考えをいつも変わらず貫いている方です。

有元葉子さんの素材や諸々の調達の仕方を拝見しておりますと、ほんとうはお詳しいのにもかかわらず、人を信じて細かい事をつらつら言わず任せ切ることの重要さと良い循環を解っていらっしゃいます。
ちょっと知っていること、その知識を言ってプロに注文をつけたくなるのが人情。
貴方を信用して「任せます」と言われた時に、どれほどプロならやり甲斐を感じ、なんとしても良いものを供したいと心に想うかを理解しています。無駄なことにお金を使わず、「良いもの」には惜しみなく適切なお金の使い方をする。
記事の見出しのとおり、誠に、<<素敵な女性は・・・もてなし上手>>といつも思います。

有元葉子さんの本はたくさんあってどれもみな楽しく有益なものばかりなのですが、最近の私のお勧めは「決定版253レシピ ようこそ私のキッチンへ」(3200円)「ためない暮らし」(1470円)の2冊です。
男性が休日に作ってみても自然になんとか美味しく出来上がるような簡潔で旨い料理の作り方。
そして、いろんなものいろんなことを「ためない」ということが、いかに気分良く幸せかということを、含蓄のあるやさしい言葉で再認識させてくれる内容のいい本です。
ぜひ手にとってみてください。

数年前にご一緒にバーでワイングラスを傾けているときに有元葉子さんが言った言葉があります。
・・・私の大切な言葉手帳に書き込んだことば。なにかの話しから私が有元さんに「若い方がチャレンジしなくなり、海外にも行かなくなり、楽しいことや美味しいものや新しいものに出会う気持ちが無くなってきている。こうなってきたのは、なぜでしょう?」と話しかけた時に、しばらく考えから、こうおっしゃいました。
「なんでも、だれでも、やってみたたらいい と思うわ。・・・失敗したって、いいじゃないですか。・・・一歩も踏み出さないより。」
いまの世の中の状況、今を生きるの若い方々にお伝えしたい言葉です。
50代でも、いくつになっても、失敗したって、いいじゃないですか!♪

有元葉子さんのホームページと玉川田園調布のShop281の情報をご覧になって、訪ねてみてください。
 
 
 
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